2020年11月23日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士
一般的に使われている基準は、「タイル施工総面積に対して何パーセントの浮きや剥離があるか」といういい方をし、●●%と表記します。
BELCA(ロングライフビル推進協会)では、5年で3%(1年で0.6%)、マンション管理業協会では、14.5年で7%(1年で0.48%)という数字を出していますが、これは施工不良があった建物も母数に含んでの調査結果と思われるため、あくまでも参考数字として考えられています。
タイルの浮きに関するレポートとしては、建築家の鈴木哲夫氏が「防水ジャーナル」2016年1月号に注目すべき寄稿をされています。
同氏は、実際に補修が行われた200件以上のタイル貼り工法の建物を調査し、施工不良があった場合とそうでない場合に層別して統計を取り、その結果、施工不良がない建物においては1年で0.19%という数字を出しています。
私がお手伝いした過去の大規模修繕工事においても、12年程度経過していても浮き率が2%程度や、1%未満の物件もありましたので同氏のおっしゃることは理解できます。
ここまでで、外壁タイルが抱える問題について何となくご理解いただけたのではと思いますが、もう一つ問題があります。
それは、外壁のタイルに大量の浮きや剥離が存在することが発見されるのが、10年以上経過して第1回目の大規模修繕工事を実施する時に多いことです。なぜかというと、そのとき初めて外壁全面に足場を組んで打診調査するからです。
近年の事故例には築10年未満のマンションも散見されますが、なぜ10年以上経って気づくのが問題なのか。それは、アフターサービスや住宅品確法の対象外となってしまうからです。
外壁タイルの浮きや剥離自体は、瑕疵担保期間を10年と定めた「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」で明確に規定されているわけではなく、ほとんどの場合は売主とのアフターサービス基準で決められています。その期間も2年〜10年と幅が広く、また、2年〜5年が多いようです。
そして、10年以上経過した第1回目の大規模修繕工事を実施する時に初めて「事件?」に気づき、売主や建設会社に何らかの苦情を申し入れるのですが、アフターサービス期間を経過しているためなかなか対応してもらえず、結局は「泣き寝入り」の形で、自分たちの費用負担で補修をしている管理組合も多いのではないでしょうか。
経年劣化によるタイルの浮きや剥離は、建物の形状、日照等のほか、地震(例えば3.11)の影響などもありますから、全ての建物に対して同様の判断はできないと思いますが、私は、正常な施工であれば0.2%/年の指標を支持しています。つまり、12年目の大規模修繕工事のときなら、0.2×12年=2.4%程度であれば正常で、これが8%や10%以上であったら何らかの施工不良が原因である可能性が高いと思っています。
<画像:>管理組合が、施工不良つまり瑕疵ではないかと思ったときは、まずは売主に連絡し売主の見解を求めますが、多くの場合は、施工不良には言及せず「法律上の責任期間を過ぎている」とか「アフターサービス基準の適用期間を過ぎている」
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