2020年11月23日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士
また、事故そのものについては言うまでもありませんが、事故にならない場合でも、剥落が起きればその対応に追われることになり、様々な想定外の負担や出費が生じることになります。単純な補修だけで済めば良いですが、経年劣化ではなく施工不良の疑いがあれば、第三者による調査や施工会社との交渉、場合によっては訴訟など、弁護士費用などの費用面はもちろんですが、管理組合の負担が大きくなります。
さらに、事故を起こしニュースにでもなってしまうと、マンション名が不本意な形でインターネット上に残り続けてしまうこともあり得ます。ビル名を変えたところもあるようですが・・・住みにくさを感じるようになったり、売却・賃貸しづらくなるようなケースもあるかもしれません。
定期報告の対象となっているマンションであれば、報告を怠ったりした際に罰則が適用される可能性もあります(建築基準法第101条によれば100万円以下の罰金にあたるようです)。今のところ、罰則が適用されたマンションの話は聞いたことがありません。
以前のタイルの貼付けは、コンクリート面をまずはモルタルで平滑にし、その後貼付けモルタルを用いてタイルを接着する工法が主流でした。
しかし、コンクリートの打設技術や型枠離型剤の進歩により、コンクリートの仕上り制度が向上したため、下地補修モルタルの工程を省いた直貼り工法が普及し始めました。
国土交通省大臣官房営繕部が発行している「公共建築工事標準仕様書」というものがあり、この標準仕様書は、建築工事施工の際の指針となっています。
タイル施工に関しては、平成7年(1995年)版では、コンクリート下地にタイルを張る場合の留意事項として、
とだけ書かれています。
ところが平成17年(2005年)に同仕様書が改定され、タイル貼り付けの基準がかなり詳細に書かれています。
コンクリート下地については、以下の通りです。
どうですか、かなり詳細になっていますよね。さらに、清掃や目荒しの方法についても別表を示し、その方法や効果の違い等を一覧表として示しています。
この標準仕様書の大幅改定と前述の重大事故の発生が平成17年であることに何らかのものを感じるのは私だけではないと思います。
平成17年以降の仕様書に基づいて確実に施工されていれば、タイルの大量の浮きや剥離は発生しなかったと思います。
現在タイルの大量の浮き等で問題となっているマンションの多くは、平成17年以前に建設されたマンションか、以降であっても突貫工事等で標準仕様書通りに施工されなかったと思われるマンションです。
例えば、下地の清掃(散水・ケレン・離型剤の除去等)をきちんとやっていない、貼付けモルタルを塗布した後のオープンタイム(所定の接着強度が出るまでの待ち時間)を十分にとっていない等が考えられます。
では正常に施工したとした場合、経年劣化でどれだけ浮きや剥離が発生するのか、できれば国交省などの公認された数値を知りたい
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