5.長期修繕計画の工事金額は高い?30年は不要?あるある誤解集<長期修繕計画の学び直し?> [マンション管理士 業務日誌]

2021年08月25日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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分かりやすい例だとバリアフリー化や遊具・駐車場設備の見直し、それ以外のよくある分かりやすい例としては、給水方式の変更に伴う工事や照明のLED化等があります。

高額な工事ばかりではないものの、こうしたものを正確に予測し長期修繕計画に盛り込むことは困難であり、ある程度の余裕があれば、こうした想定外の事項に対して、修繕積立金の額を変更しないで対応可能な場合もあります。

分譲時の仕様のままでは、資産価値の維持は難しい

通常、長期修繕計画に記載の工事は、新築時と同等水準の性能・機能を維持・回復することを想定しています。
新築マンションにお住まいの方はピンとこないかもしれませんが、数十年も経つと、様々な技術革新等により、住宅のスタンダードもかなり変わってきます。

<画像:>資産価値の維持・向上の観点で言えば、例え現状に不満がなくても、近隣マンションの状況や、その時代に求められる機能や美観を考慮する必要も出てきます。
工事の際に十分に普及しているものであれば、当初の想定金額と大差ない金額でアップグレード出来てしまう可能性もありますが、場合によってはプラスα(アルファ)が必要になるでしょう。

また、高経年化した際に建替えをするのかしないかでも、その間の工事方針は変わるはずです。
何をどの程度考慮すべきかはマンションによって異なりますが、かなり先を見越した検討や方針、計画がないのであれば、将来的に修繕積立金不足になる可能性もありますので、ある程度の余裕を持たせておくことをお勧めします。

築30年以上で想定される工事項目

「高経年化に伴う」と前述しましたが、ご参考までに築30年以上のマンションにおいて想定される工事項目例をご紹介します。

<画像:【表】築30年以上で想定される工事項目>

25年や30年も先はどうなっているのか分からないのでそんな話をしても意味がない!
そんなことよりも5〜6年先のことを真剣に考えた方が現実的だ!

解説

しばしば見聞きするご発言ですが、先のご発言同様、長期修繕計画の正確性(不確実性)の観点からのご発言のものと、25年や30年先は自分に無関係と思っている方のご発言に大別されるように思います。

目先に迫っている工事は関心が高くなるものですが、マンションを適正に維持していくための長期間の資金計画が決まっていないと、目先の工事とはいえ、どこまでお金を使ってよいのか、または借入れをしてでも実施するべき工事なのか等の判断がしにくくなります
結局は「今お金がこれだけあるから、その範囲内で実施しよう」となってしまいます
これでは、適正な計画修繕は実施できません。

長期修繕計画がないとどうなるのか

長期修繕計画(長期的視野)がないと、以下のようなことが起こります。

  1. 行き当たりばったりの修繕を実施してしまう
  2. 高額な修繕工事の計画が無視されてしまう
  3. 修繕積立金の値上ができず、いずれ資金不足に陥る(必要な工事が出来なくなる)

長期修繕計画の意義等、詳しくは前回の「長期修繕計画の学び直し?〜あるある問題事例と最近の傾向」に書かせていただきましたので、よろしければご一読ください。

自分は年金生活者なので修繕積立金の改定(値上げ)は死んだ後にやって欲しい!
(言ってることや計算については理解したが、今のままでいいんだよ・・・)

解説

お気持ちはよくわかりますが・・・ご発言者様がお亡くなりになった後も、マンションは誰かが引き継いで管理していかなければなりません。

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