2022年03月12日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士
よって理事会は、当時の管理会社に対し、最低限の業務、つまり会計・出納・管理員・清掃・設備の法定点検だけは更に3か月延長するように申し入れましたが、管理会社の回答は「一切応じられない。契約書に基づき12月31日に契約を終了させる」というものでした。
ここでよく考えてみたいと思います。
標準管理委託契約書第19条(解約の申入れ)は、契約期間に関わらず双方から(管理組合側からも管理会社側からも)契約終了の申し入れができる規定です。
(解約の申入れ)
第十九条 前条の規定にかかわらす?、甲及ひ?乙は、その相手方に対し、少なくとも三月前に書面て?解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることか?て?きる。
出典:国交省 マンション標準管理委託契約書
管理組合側から契約終了を申し入れる場合は、管理組合内でしかるべき準備(次期管理会社の内定や住民説明会の実施等)を整え、更に総会の決議をもって初めて契約終了を申し入れることになります。
ですから、管理会社に契約終了の申入れをしてから終了するまでの3か月間で、次期管理会社としっかり引継ぎをすることが可能です。
しかし、管理会社から突然解約を申し入れられると、それから3か月間で上記「?新管理会社の選出」から「?管理会社の新旧引継ぎ」までの作業や手続きをすべて実施しなければならず、どう考えても通常のプロセスではできそうにありません。
最近は、委託業務費の金額交渉がうまくいかなかったり、一部の居住者の対応に追われ管理員やフロントマンの業務が円滑に遂行できないなどの理由で、管理会社からの契約解除申し入れも散見されるようになりました。
ただ、私の過去の事例を見ても、契約書では3か月となっていても管理組合から延長の申入れがあると最低限の延長には全ての管理会社が応じていましたので、今回の管理会社の対応は、大手管理会社だという点、企業の社会的責任という観点からも大変残念に思います。
しかし、実際にこのような事が起こったことをふまえると、マンション管理委託契約書第19条(解約の申入れ)の契約解除の予告期間を見直す必要があると思いました。
具体的には、契約解除の予告期間を、乙(管理会社)から申し入れる場合は、少なくとも6か月とするように交渉したほうが良いと思います。
先行きがとても不透明な時代になり、事業の撤退等、今回とは違う形での契約解除申し入れの可能性もあるかもしれません。
どのような理由にせよ、もし実際に3か月前に契約解除の申し入れがあったら・・・と、現実的に起こった際を想定し、リスク管理の一環として委託契約書の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
<画像:【イラスト】弁護士>このような事態に陥った管理組合の混乱状況は、おそらくご覧になっている多くの方々にご理解いただけると思いますが、どうにか延長出来ないものでしょうか?
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