3.施工不良、剥落事故...マンションの外壁タイル問題について [マンション管理士 業務日誌]

2020年11月23日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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プはタイルが浮いている箇所。
一見するとわかりづらいですが、全面的にタイルが浮いている状態で、いつ剥がれ落ちても不思議ではない状態でした。

2.建築基準法の対象内外、施工不良の有無に関係なく、定期的な調査が必要である

一部マンションも対象! 建築基準法で調査報告を義務付け

<画像:>建築基準法では、建物所有者の義務として、安全上、防火上、衛生上特に重要な建物は定期的に調査をしてその結果を特定行政庁に報告することになっており、管轄の特定行政庁によっては一定規模以上のマンション(集合住宅)もその対象となっています。なお、特定行政庁というのは、市町村・特別区・都道府県のいずれかになります。お住まいの地域によって異なりますのでご注意ください。

例えば東京都であれば、「5階以上」かつ「共同住宅の用途に供する部分の床面積の合計が1000?」のものが3年毎の定期報告の対象になっています。ご存じだったでしょうか?
また、千葉県内については一般的な居住専用のマンションは規模を問わず対象外となっていますが、それぞれの特定行政庁によって異なりますので、外壁にタイルを使用しているマンションにお住まいの方は、後述に参考リンクを記載しておきますので是非一度確認してみてください。

より厳密な調査を求める内容へ

平成20年(2008年)4月1日以前の施行令では、タイルについては手の届く範囲を打診(専用のハンマー等でたたいて浮きや剥離を調査する方法)し、それ以外の範囲は目視(外観を見て判断する)で良いとされていました。

しかし、同年4月1日に施行令が改正(国交省告示第282号)され、

  1. 手の届く範囲は打診、それ以外は目視し、異常が発見された場合は全面打診調査
  2. 異常の有無にかかわらず竣工後(又は前回の全面打診調査後)10年以上経過した建物の初回の調査の際には全面打診調査

とされました。

分かりやすくいうと、「タイル仕上げの建物は、10年毎に全面打診調査を実施しなさい」ということです
ただし、「全面」とありますが、打診の対象は「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」になります。

10年毎に全面打診調査が必要!

つまり平成20年4月以降は、タイル仕上げはメンテナンスフリーではなく、経年劣化により剥離・脱落する危険性があるので、定期的な調査の他、10年に1回は本格的な打診調査が必要と認識されたといえます

<画像:【写真】外壁タイルを検査している様子>
こちらも最近の事例ではありませんが、パルハンマーを使ってタイルの浮き状況を確認している様子。
青いテープで囲んである部分はタイルが浮いている箇所です

3.事故リスクや施工不良によるコスト負担等のリスクが存在する

前述した事故や、その後の法改正を経た近年でも、残念ながらタイルの剥落、それによる人や物を巻き込んだ事故は続いています。
近年私が関わった大規模修繕工事(第1回目)等においても、外壁タイルの大量の浮きや剥離が確認された事例が複数あります。
この状況を見ると、単に「経年劣化」とはいい難く「施工不良」ではないかと思われるものもあります。私がお手伝いしている案件でも発生いたしましたが、タイルの浮きや剥離を巡って紛争に発展しているケースもあります

想定されるリスク

  1. 事故(訴訟)リスク
  2. 負担・出費のリスク
  3. 修繕積立金圧迫のリスク
  4. 悪評・資産価値低下のリスク
  5. 罰則リスク

タイル貼替えコストは馬鹿にならない

<画像:>実はタイルの貼替えコストは結構高く、設計価格レベルでは@1

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