2016年03月02日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士
重松マンション管理士事務所には電話やメールの無料相談も含め、年間に相当数の相談が寄せられますが、今回は、当事務所に相談があった事例を基に、大規模修繕工事を円滑に進めるためのヒントをご紹介いたします。一般のセミナーや講習会ではなかなか話せない内容も含まれていますので是非お読みいただければと思います。
当事務所に寄せられる大規模修繕工事に関する相談の数はかなりありますが、その中で「工事業者の工事が下手くそで困っているからなんとならないか。」とか「大規模修繕工事をやってみたけれど、当初考えていたほど綺麗にならずにがっかりした。何がいけなかったのだろう?」などの相談はほとんどありません。
それでは、一体どのような相談が寄せられるのでしょうか?
以下何件かの相談例をピックアップしてみます。
これからもわかるように、実際に行った工事の内容(結果)に関する不満よりも、大規模修繕工事という一大事業の進め方に関する不満の方が圧倒的に多く見られます。
居住者が、建物を長期間にわたって安全・快適に使用できるようにするための大規模修繕工事なのに、終わってみたら住民間の対立や不協和音ばかりが目立つ結果となり、管理組合内部もぎくしゃくして、工事前よりもコミュニティーが悪くなってしまったという例もよく聞きます。
ご存じのとおりマンションは区分所有者全員の共有財産です。
大規模修繕工事は、区分所有法第17条の規定により、共用部分(共有物)の変更行為に当たります。民法では共有物の変更行為は共有者の「全員合意」がなければすることができません。ところが民法の共有の規定を一部排除して、共有物であっても多数決で変更することができるようにした法律が区分所有法です。
2001年の改正で、形状又は効用の著しい変更を伴わない大規模修繕工事は、過半数で実施することができるようになりました。つまり、民法上では「全員合意」でなければ実施することのできない工事を、過半数で実施することになるわけです。言い換えると、半数近くの区分所有者が反対であっても、総会で可決(承認)されたら工事ができることになります。
マンションは戸建住宅とは違い、管理が行き届かずに放置されてしまうと社会に与える影響がとても大きいので、管理の重要性を考えた場合、多数決で大規模修繕工事を実施できるようにした法律の趣旨は理解できます。
また、日本は民主主義国家ですので、工事の実施が決定したら、反対していた人も工事に協力していただかなければなりません。ですから、反対した区分所有者も、「自分は反対だったけれど、きちんとした手続きを経て決まったことだから受け入れるべきである。」と理解してもらえるような進め方が重要だということです。
つまり、一にも二にも「正しい手続」を積み重ねて、一大事業を進めていく必要があるということになります。この考え方をぜひ理解してください。
大規模修繕工事は多額のお金を必要とします。
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