20.マンション大規模修繕工事における談合の実態について(2) [マンション管理士 業務日誌]

2016年12月26日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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管理組合の大切なお金を有効に使わなければならないので当然のように思えます。しかし、前述のとおり、安い金額で受注しておいて、実際は裏で工事業者の談合を取り仕切り、多額のキックバックを受け取っている設計事務所はとても多いのです。

彼らは、自分たちの受注金額の何倍ものキックバックを工事業者から受け取りますので、受注金額は安くても構わないのです。

設計事務所の見積書を確認する際は、合計金額だけを見るのではなく、どの業務にどれだけの手間をかけて実施し、その作業単価はいくらなのかよく見たうえで、工数や単価が妥当であるかをきちんと見極めてから決めるべきだと思います。
作業の単価が著しく安いと思ったときは「なぜこんなに安いのですか?」と聞いてみて、納得のいく回答が得られなかったら怪しいと思って間違いありません。

コンサルタントや設計事務所にしかるべき(適正な)金額を支払ったとしても、工事金額に比べればさほど大きな金額ではありませんので、ここで騙されないようにしていただきたいと思います。

4.脱談合に向けて・・・

今回私がこのような記事を書いたことは、業界の人たちから見ると「禁じ手」かもしれません。
しかし、マンション管理の世界で仕事をするようになり、大規模修繕工事においていとも簡単に談合が行われ、専門的知識のない管理組合がその餌食になっているのを見ていると、いつかはこのようなことを書いてみようと思っていました。

最近、マンションの大規模修繕(リフォーム)に関する技術や管理組合のニーズの把握等を研究している団体(マンションリフォーム技術協会/MARTA)が、「提言」と称し、不適切なコンサルタント(設計事務所)の横行及びその実態並びにそれらの排除に関するコメントを機関誌に掲載して波紋を広げています。
その内容は、私も拝見しましたが、まさに私が申し上げたいことが書かれていました。

追記(注意) 2017年1月には、国土交通省からも、設計コンサルタントの活用に関する通知が出ています(大規模修繕工事の不適切コンサルタントについて(国土交通省からの通知について))

最近は、インターネットの普及などで、管理組合も大規模修繕に関する情報を多く得ることができるようになりました。そして、私以外にもこの業界では談合が横行していることを唱える人も増えてきました。

管理組合もだんだん知識が増えていくと思いますので、この業界もいつかは「脱談合」に向かって進んで行かないとやっていけなくなる時代が来ると思います。

先日ある工事業者が私の事務所を訪ねてきました。
話しの内容は、「今後はコンプライアンスを重視し、業界特有のお付き合いからは足を洗います。そして、自社の品質と価格で勝負していきます。」ということです。
やや回りくどいいい方ですが、早い話が「もう談合はやりません。これからは実力勝負でやっていきます。」ということでした。逆にいえば、「今までは談合をやっていました。」とも解釈できますが...
これからは、実力で勝負しようとするこのような工事会社が増えていくことを期待したいと思います。

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