2021年11月18日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士
第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。配管の清掃等に要する費用については、第27条第三号の「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。なお、共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる。その場合には、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについて記載し、その工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定するとともに、先行して工事を行った区分所有者への補償の有無等についても十分留意することが必要である。
出典:マンション標準管理規約 単棟型 21条(敷地及び共用部分等の管理)第2項のコメント?
従来は、「雑排水管等の清掃(高圧洗浄等)は、管理費からの支出で問題ないが、専有部分である横引配管を更新する場合は各区分所有者が個人で実費を負担するべき」という趣旨のコメントが記載されていました。
今回は、それに「共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる」と追加されています。
もう少し分かりやすく書くならば「各戸が単独で行うよりも安く工事が出来る場合は、修繕積立金を使って共有部分と専有部分をまとめて工事することも可能である」という感じでしょうか。
ただし、続けて条件の記載があることに注意しなければなりません。
更に、「先行して工事を実施している区分所有者に対しての補償の有無などにも十分に留意することが必要」と書かれている点も重要なポイントです。
余談になりますが、私がお世話になっているマンションで給排水給湯管の更新工事を実施した際に、専有部分の工事に関する費用を修繕積立金から支出して、管理組合が一部の組合員から訴えられた事例があります。
私のブログでも過去にご紹介いたしました。
【参考】修繕積立金を専有部分の改修に使用した事例の最高裁決定について
この裁判は最高裁まで争われましたが、結果は管理組合の勝訴となり、マンション管理関連の全国紙などでもかなり取り上げられました。
専有部分にかかわる工事となると「大丈夫なのか?」「いやいやダメだろう」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、裁判により認められた事例になりますので、是非参考にしていただければと思います。
今回のマンション標準管理規約の追加コメントは、この判例がかなり影響していると思っていますが、前述のように築30年以上を経過したマンションが230万?を超える中、良好な管理状態を維持できるマンションが少しでも増えれば良いなと思います。
給排水管の更新工事は、室内の壁や床等を解体し、配管の更新工事が完了したら、また復旧するという工事がつきものです。
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