2017年01月09日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士
議決権の割合は共用部分の持分割合によることが原則(法第38条)ですが、今回の改正では、初めて専有部分の価値(眺望・日照等)も考慮したうえで議決権を規約で別に定めることも可能としています。
これについては、詳細な解説は割愛しますが、個人的には賛成しかねます。
管理費等の滞納は、マンション管理に重大な影響を及ぼすことに鑑み、滞納者に対する督促義務や手順を明確にするとともに、遅延損害金の利率にも踏み込んでコメントしています。
組合員から理由を付した書面で閲覧請求を受けたときに対象となる書類等に、長期修繕計画書、設計図書、修繕履歴等を追加するとともに、閲覧に代わり必要な個所の写し等を提供できる規定を設けました。
今回の標準管理規約の改定については、パブリックコメントにおいて、多くの著名な団体からコミュニティ条項の削除に対して反対意見が寄せられていました。
このことだけを見ると、改正された標準管理規約案は「駄作」のような印象を受けますが、国交省のコメントも含めてよく読んでみると、決してそのようなことはないと思います。
確かにコミュニティ条項の削除は、賛否が分かれるところではありますし、住戸(専有部分)の価値によって議決権割合を変えること等は、なかなか理解しにくい面もあります。
しかし、私なりに考えてみましたが、今回の改正は「管理組合はマンションの資産管理(資産価値の維持・向上)が主要な業務である。」というメッセージを管理組合に向けて強く発信しているように感じます。
そのために、理事会の義務や権限を明確化したり、強化したりするとともに、外部専門家の活用については従来以上に踏み込んで肯定的なコメントをしています。
また円滑なマンション管理を遂行するうえで、一定範囲のコミュニティ形成は有効と認めながらも、そのための管理費の使い方については「自治会等」と混同しないように注意を促しています。
国土交通省は、築30年以上の高経年マンションストックが増加し、同時に建替えを含む管理が適正に行われずに老朽化・スラム化しているマンションが増加していることに危機感を感じているのではないかと思います。
標準管理規約は絶対的なものではありませんので、それぞれのマンションの事情に応じて臨機応変に修正しながら活用するべきものではありますが、冒頭に申し上げた通り国の指針のような位置付けとなっていることも事実です。
そのため、コミュニティ条項が削除されたことについて、大手新聞社ですら「管理費会計からは親睦会的な支出ができなくなった。」と不正確な記事を出したりしています。
皆様方には、コミュニティ条項だけでなく、それ以外の改正項目についても目を向けていただき、皆様のマンションの管理がさらに向上する糧にしていただきたいと思います。
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