2018年03月14日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士
会社の場合は、経営方針、営業戦略、予算などを取締役会で決め、所定の手続きのうえ、自分たちでスピーディに実行します。そしてその結果について責任を負います。
ところが、管理組合の場合、事業計画や予算案は総会の議決事項となっており、年に1回開催される通常総会において決定されます。総会に諮るのはその年の理事会、執行するのは翌年度の理事会となります。1年で理事全員が入れ替わってしまう管理組合が約6割(平成25年度マンション総合調査)ですから、多くの管理組合では「前期の理事会が決めたことを今期の理事が引き継いで実行する。」ことになります。
また、理事会が行うべき業務は、保存行為のほかは、管理規約と総会決議に基づくことになりますから、業務範囲はかなり限定されます。
「総会では承認されていないし、管理規約にも規程がないけれど、マンションにとって良いことから即実施しよう。結果の責任は私たちがとればよい!」といって実行することはできません。そんなことをしたら、結果に対する責任ではなく、そもそもそのようなことをやったことに対する責任を問われることになります。
どうしても自分たちでやりたいことができた場合は、臨時総会を開催して承認を貰ってから自分たちの理事会で実行するか、やりたいことを次年度の総会に諮ったうえで、次年度も理事を継続して実行するかになります。ですから、効率という点ではとても非効率的な運営となります。
前項で述べた通り、理事会が違法行為や善管注意義務に反しない限り、つまり普通に業務を行っている限り、責任を問われることはありません。
その反面、
このように考えて「早く1年たって欲しい」となると、いわゆる無責任体質となります。
自分が本業としてやっている仕事や自分の家計を考えるときとはえらい違いです。
そうしているうちに、正しい判断力を行使することなく、問題を先送りにしたり、無駄なコストを垂れ流したりする結果になることもあります。
マンション管理には相当高度な専門知識(法律、技術、財務、保険、資産運用etc...)が必要です。区分所有法に管理者の規程がある趣旨は、管理者という外部の専門家に管理をさせることを前提としているといわれています。欧米でのマンション管理は多くがこのシステムを採用し、所有と管理を切り離して合理的に考えています。
しかし、日本の理事会では、居住者から選ばれた理事の合議制で運営されますので、多くの場合、理事会にマンション管理の専門家はいません。その場合は、理事だけで物事を考えて正しい結論を導き出すことが難しいので、結局は決断を先送りにしたり、ルーティンワーク的なことだけをやったりする理事会になってしまいます。
それでも、マンションを購入したからにはいつかは理事の順番が回ってきます。
以上のように、マンション管理組合の理事会は問題が多いのですが、理事になったからにはなるべく効率の良い理事会運営を行い、管理組合の利益、延いては区分所有者全員のためになるような運営を心掛けたいと思うはずです。そこで理事会を効率的に行うためのヒントを私なりに考えてみました。
何度も申し上げますが、理事会でやるべきことは管理規約で決められた業務と総会で決議された事項です。ですから、今年の目標等は比較的簡単に決めることができます。
年度の初めにその項目を整理して年間スケジュールを決め、毎月進捗状況を確認しながら議論をすると、効率の良い議論ができます。
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