13.エレベーターのリニューアル(交換・改修)2〜制御リニューアル実施事例とポイント [マンション管理士 業務日誌]

2018年09月08日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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1972年に社団法人日本エレベーター協会が「昇降機防災対策標準」を制定し、?かごや釣合おもりレールから外れない対策、?巻上機や制御盤の転倒防止対策、?地震が発生した時の運行方法、などの基準を公表しました。これがエレベーターの公的な耐震基準の始まりとされています。その後、宮城沖地震、阪神淡路大地震、東日本大地震などを経て少しずつ変わっています。

81耐震

1981年に、財団法人日本建築センターが1972年の基準を更に具体的に規定した「エレベーター耐震設計・施工指針」を公表しました。その年の下二けたをとって「81耐震」と呼んでいます(以下同じ)。

98耐震

1998年に、財団法人日本建築設備・昇降機センターが「昇降機耐震設計・施工指針」を公表し、81耐震に加え、更に?おもりブロックの脱落防止、?懸垂機器の転倒防止、などについて基準を設けました。

09耐震

2009年に建築基準法施行令が改正され、テーマが、それまでの「製品の破損防止」から「人命最優先の確認・安全走行」へと変わっていきました。具体的には、?予備電源設置の義務化、?地震時管制運転装置の義務化、?戸開走行保護装置の義務化、?ガイドレール・レールブラケットの強化、?長尺物振れ止め対策強化、などです。

14耐震

東日本大震災のときに、エレベーターの釣合おもりの脱落が多数みられたことを受け、2014に改正された最新の耐震基準です。具体的には、釣合おもりが地震で脱落しないよう本体の構造と構造計算方式を定めました。また、地震に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算方法も規定されました。

5.エレベーターの保守(メンテナンス)

フルメンテナンス(FM)契約

意匠部品、その他かご、扉、巻上機一式等を除き、部品の交換も契約金額に含めて定期的にメンテナンスする契約方法です。

部品交換も含まれるため、後述の「POG契約」より割高となります。
交換の範囲はエレベーターを通常使用する場合において発生する摩耗・劣化に限るとされており、交換の基準はエレベーター会社の判断で行われます。

費用は、エレベーターのタイプやメーカー系か独立系か、また、契約内容により様々ですが、概ね4万円〜8万円程度だと思います。

POG契約

「Parts(パーツ)」「Oil(オイル)」「Grease(グリース)」の頭文字をとって「POG契約」といいます。一部の消耗部品の交換とオイル・グリースの補充は保守契約費に含むがそれ以外の部品交換は全て有償となる契約方法です。

費用は、こちらも様々ですが、概ね2万円〜4万円程度だと思います。

フルメンテナンス契約とPOG契約、どちらが良いのか?

マンション管理組合にとっては、どちらの契約が得かという議論はありますが、マンションの事情に応じて選択することになります。

「フルメンテナンス(FM)契約」の場合は、契約金額は割高になりますが、予算を立てやすく、長期修繕計画書に記載する修繕項目としては、かご内のリフォーム費やリニューアル工事費を一定の時期に計上しておけば済みます。
逆にPOG契約の場合は、契約金額は安くて済みますが、保守業者から部品交換の提案や見積もりを受けたときに、その妥当性などの判断ができず修理が先送りになったり、ロープ交換など思わぬ時に高額の費用を請求されたりすることもあります。

また、過去の事例では、POG契約のデメリットを解消したいので、途中からフルメンテナンス契約に変更しようという管理組合がありましたが、変更時に受託業者からかなり高額の初期整備費用を請求されることが判り、結局は断念したこともありました。

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