12.マンションの損害(火災)保険について [マンション管理士 業務日誌]

2018年01月24日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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こんにちは。重松マンション管理士事務所の重松です。
今回は、ほとんどのマンション管理組合が付保している損害保険について書かせていただきました。
高経年マンションにおいては、最近の保険料の大幅な値上がりで驚かれていると思いますが、そんな管理組合にとってもリスク(危険)管理のヒントになれば幸いです。
なお、文中によく出てくる「保険料」は、加入者が保険会社に支払うお金で、「保険金」は、事故が発生した時に、保険会社が契約に基づき加入者に支払うお金のことです。

1.損害保険の歴史

リスク管理の考え方は、紀元前からあるといわれ、古代中国の船荷の輸送方法(複数の船に分散して荷物を輸送する。)が起源であるとか、保険については14世紀ヨーロッパの貿易商が、海上貨物の保険制度をスタートさせたことがその始まりとかいわれています。
そういえば、損害保険会社の社名には「●●海上」という名称が多いのもうなずけます。
17世紀後半になると、ロンドンのロイドコーヒー店に多くの保険引受人が集まり、海運や貿易に関する様々な情報を収集するようになり、会員制の保険組合ができ、これがいわゆる「ロイズ(Lloyd's)」 の始まりといわれています。
そして日本においては、明治維新以降に本格的な保険会社が誕生して現在に至っています。

2.マンションにおけるリスク管理の考え方(手段)

マンションにおけるリスク管理は、物に対するリスクと損害賠償に対するリスクの2つに分類されますが、まずはそれらのリスクに対する管理手段等を考えてみましょう。

?リスクの回避

この考え方は、リスクの発生を回避するというもので、危険な場所には近づかないという考え方です。例えば紛争や戦争が起こっている国への旅行を中止したり、自動ブレーキのついた車を運転したりするなどです。マンションの場合は、火災が発生しないよう不燃性の内装材料を使用したり、建物をコンクリート造で設計したりすることなどですが、これらのことは建築基準法や消防法等の法律で必須事項になっている場合がほとんどです。

?リスクの軽減

リスク発生時の損害を極力低く抑えようとする考え方です。
例えば、車を運転する時にはシートベルトをするとか、エアバッグ付きの車を選ぶなどです。
マンションの場合は、旧耐震基準の建物であれば、耐震補強を実施し、損害の発生を軽減させる工夫などがそれに当たります。

?リスクの保有

全てのリスクに対応することができれば一番よいのですが、それにはかなりの費用が掛かることが予想されます。
リスク発生時のために、一定額の貯蓄をしておくとか、お互いが助け合う互助制度や組合制度を構築しておくなどがその考え方です。
マンションにおいては、修繕積立金を積み立てておくなどがそれにあたると思います。
※修繕積立金は、原則として計画修繕のために積み立てられるものですが、標準管理規約単棟型第28条第1項(修繕積立金の使途)第2号に「不測の事故その他特別の理由」が規定されています。

?リスクの移転

どのような準備をしておいても、リスクを完全に排除することはできません。
ですから、リスクが発生したときに、その損害を経済的に解決できる方法を予め準備しておく考え方があります。これが生命保険や損害保険の考え方です。

3.損害保険の基本原則

損害保険には、その制度を支えている重要な基本原則がありますので、その原則を以下にご紹介します。

?大数の法則

精巧に作られたサイコロを6回振ったとしても、1から6までの数が一回ずつ出るとは限りません。しかし、6万回振ったら、600万回振ったらどうでしょうか?
その場合は、多少の誤差はあっても1から6までの数がほぼ同じ数だけでてきます。確立上当然のことですが、これが「大数の法則」です。
個々の場合を見ると偶然と思われる事故でも、全体からみると一定の確率で発生しており、保険の統計的な基礎数値となっている法則のことです。
マンションにおける火災や漏水事故も、多数のマンションを観察すれば、一定の発生頻度を予想することが可能になります。

?収支相当の原則

保険は、原則として加入者が支払う保険料の範囲内で運営・処理されることを前提として成り立っています。
事故が発生した時に加入者に支払う保険金に充当する「純保険料」と、事業運営のための経費等に充当される「付加保険料」があり、純保険料の総額と保険金の支払い総額は一緒でなければなりません。これを「収支相当の原則」といいます。

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