11.総会議事録の作成を失念し非訟事件として訴えられた事例 [マンション管理士 業務日誌]

2018年02月06日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


こんにちは。重松マンション管理士事務所所長の重松です。
区分所有法には第三章(第71条以下)に罰則規定があります。
いくつか例を挙げると

等々は、管理者(理事長)、管理組合法人の理事、総会の議長等に、過料20万円が科せられることになっています。
とはいうものの、専門的知識に乏しい役員だけで運営する場合、管理規約がどこに保管してあるかも不明な場合や、総会(特に臨時総会)の議事録作成を忘れてしまう場合もありそうです。
実は、私が大規模修繕工事のコンサルティングでお世話になった管理組合で、臨時総会の議事録を作成することを失念し、組合員から非訟事件として訴えられた事例がありましたのでご紹介いたします。

臨時総会

大規模修繕工事に関する臨時総会を開催し、議案は可決されました。
この管理組合は、管理会社と管理委託契約を締結しており、管理委託契約書の中には総会議事録の素案作成も業務として含まれていましたが、当日はたまたま担当者の都合がつかず、臨時総会へは出席していませんでした。
そのため、議事録は理事会で作成することとなり、私も議事録の素案を理事長に提供していました。
しかし、理事長も慣れていないことや、ご自身のお仕事が忙しかったこともあり、その後の作業を管理会社に依頼することを忘れていたようです。

過料事件

ところが約1年後に、ある組合員から過料事件として裁判所に通知されてしまったのです。
組合員から裁判所に提出された「過料事件通知書
内容は、「当時の臨時総会の議長であった理事長が、議事録を作成していないので区分所有法の規定に基づき過料に処すべきもの」でした。
この方は、過去には理事長職も経験された方でしたが、普段から管理組合運営にいろいろとご意見をお持ちのようで、時の理事会とはいつも対立関係にある方でした。
当然ながら当時の理事長はびっくりして私に相談されました。
私も、まさかこんなことになるとは思っていなかったとはいえ、議事録の作成作業を最後まで確認していなかったという反省もあります。
そこで当時の関係者(役員、管理会社、私)が集まって対応策を検討することになりました。

対応策の検討

当時の理事長の記憶も定かでなかったので、関係者の記憶をたどったり、管理会社や管理事務所の保管場所も探したりましたが、やはり議事録は作成されていませんでした。
また、裁判所からは所定の様式に基づく「陳述書」を提出するように指示がありましたので、そちらも提出する義務があります。
私は、専門家にも相談した結果、以下のことを陳述書に書いて提出するようにお勧めしました。

  1. 議事録は作成していなかった。怠慢であったことは認める。
  2. その理由と当時の状況の説明
  3. 遅れたけれど直ちに総会議事録を作成した。
  4. 一般的なマンション管理組合の理事会運営の実態
  5. 不処罰としていただきたい。

提出した陳述書

裁判所の判断

約1か月後に裁判所から決定通知が来ました。
私たちの主張が認められて、当時の理事長もほっとしたみたいです。

反省

戸数も少ないマンションで管理会社に管理を全面委託しているマンションは多いと思います。私のマンション(35戸)もそうです。
普段は、理事会議事録の素案も含めて総会議事録素案等は管理会社が作成してくれ、理事長は簡単に確認して署名・押印をすれば済むようになっています。
今回は、総会に管理会社が出席してなかったことを忘れ、ついいつもの調子で進めてしまった結果トラブルを招いてしまいました。
このように訴えられることは稀でしょうが、議事録の作成にかかわらず規約原本の保管等も理事会がきちんと把握しておく必要があると思いました。

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