1.専有部分はどうする?給排水管更新工事の進め方【最新版】 [マンション管理士 業務日誌]

2021年11月18日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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br /> そのうえ、1日刻みの工程をきちんとこなしていかなければなりません

ですから、管理組合は「どんな困難を乗り越えてでも、この大変な工事を完成させないといけない」という強い覚悟と「居住者に対するきめ細かな配慮が大切」という思いやりが必要となります。

問題となりそうな事項を工事に先立ち検討しておく

外壁等大規模修繕工事であれば、工事前に決めておくべき事項や居住者に対するお願い事項等は概ね決まっており、しかもさほど大きな資金負担につながるようなことはありません。

また、工事が進んでいくうちに予想外のことが発生しても、多くの場合は対応することが可能です。(もちろん資金的な問題はありますが...)
しかし、給排水管更新工事の場合は、事前に方針を決めて十分な準備をしておかないと、途中で簡単に方針を決定したり変更したりできませんし、またそのために臨時総会を開催しなければならなくなるなど、手続上もかなり厄介な問題があります

<画像:【写真】給排水設備のタイプ別集計表>
給水設備・排水設備のタイプ別集計表。
3棟からなるマンションのものですが、11のタイプに分類することが出来ました。

以下に事例を交えながらいくつかご紹介します。

1横引管(専有部分)の工事をどのようにするのか?

一部の例外を除いて、給排水管の横引管は専有部分※4です
管理組合が行う工事の対象は、共用部分※5が原則ですので、「管理組合は共用部分である竪管を中心に更新するので、専有部分である横引管については、個人の判断と費用負担で実施(更新)してください。」となります。

しかし、前述のように給排水管については、共用部分と専有部分が一体化しており、密接な関係にあります。例えば、「我が家はお金がないから、横引管の更新工事はやらない。」となったらどうでしょうか?
どこからでも漏水事故が起こってもおかしくない状況になっているから、管理組合は更新工事を検討しているのに、更新工事を実施しても、横引管をそのままにしておけば、そこから漏水事故が発生する可能性が残ります

マンションでは、給排水管を更新する場合は、竪管(共用部分)と横引管(専有部分)を同時に更新することが望ましいといわれています。
しかし、専有部分の工事を個人の判断に委ねてしまえば、せっかくの大事業が不完全な工事のまま終わることになります。

専有部分からの事故であれば、その責任は専有部分の所有者となりますが、下階を水浸しにしてしまった場合の損害賠償は高額になりますし、そうなってから自分の横引管を修理しようと思っても、更に多額の費用が掛かるので経済的な負担も甚大になります

「保険に入っているから大丈夫」とおっしゃる方もいますが、築年数が経ったマンションにおいては保険料は高くなりますし、新規には引き受けない保険会社も出始めています。また、工事をしなかった特定の個人を守るために、管理組合が保険料を負担するのはおかしいという意見もあります

私見ではありますが、給排水管の横引管は、専有部分であっても管理組合の責任と負担で、竪管(共用部分)の工事を実施する際に同時に行うべきと考えています。
しかし、そのためには「資金」の問題と「管理規約」の問題が出てきます
「資金」に関しては、修繕積立金の値上げや借入れを検討して合意形成を図るべきと考えますし、「修繕積立金を専有部分の工事のために使用する」には管理規約も一部変更する必要があります

マンション標準管理規約が改正され、配管工事についてコメントが追加されました

国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」が2021年6月に改正されましたが、給排水管更新における専有部分の工事に関するコメントが新たに追加されました
条文自体は、「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」というもので、従来から変わって

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