1.長期修繕計画の学び直し?〜あるある問題事例と最近の傾向 [マンション管理士 業務日誌]

2021年05月06日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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しかし問題は、値上額の妥当性をいかにして区分所有者に理解していただくかです。

3.長期修繕計画の意義

長期修繕計画の持つ意義は、以下3つに集約されます。

長期修繕計画の意義

  1. マンションの適正な維持・管理に必要な修繕計画と資金計画を明確にし、予めそれを区分所有者に周知する
  2. 「1」により、多額の費用を伴う大規模修繕工事等の合意形成をやりやすくする
  3. 「1」により、適正な額の修繕積立金を算出する根拠資料とする

残念ながら、心血を注いで作成した長期修繕計画を「見たことがない」という方もいらっしゃいますが、、、作成した長期修繕計画は、きちんと配布して周知〜合意を得ることが非常に重要です。

また、適正な修繕計画であることが前提になりますが、前述の通り、修繕積立金の値上げが必要になった際にとても重要なポイントになるのが「3」だと感じています

そして、適正な修繕計画であるためには、長期修繕計画を定期的(5〜6年)に見直して、修繕積立金の徴収額が適正な範囲を維持できているか等を継続的に検証していただく作業も重要です

予め不測の事態や物価上昇等を加味し、かなり余裕を持たせた計画を立てている管理組合もありますが、大規模災害も含め、何十年も先まで正確に予測することは困難です。
また、状況によっては専有部分の給排水管の更新について、あるいは、建替えや再生工事、解体を視野に入れた議論が必要になるかもしれません。


4.最近の長期修繕計画見直しの傾向

専有部分の給排水管の更新を見込む

長期修繕計画において修繕の対象となっている部位は、「共用部分」です。
そして、専有部分の維持管理は、個人の責任と負担で実施することが「建前」です

築30年以上経過したマンションにおいては、給排水管の更新工事が重要なテーマとなりますが、そのようなマンションの管理のお手伝いをしているうちに、あることに気づきました。
専有部分の給水(給湯)管や排水管の更新については、個人での実施を前提に修繕計画を進めようとしても、個人の考え方の違いや経済的な事情等が影響し、専有部分の工事が進まないことです。

そうなると、共用部分(竪管)を更新しても、専有部分を原因とした漏水事故が多発するようになり、多額の損害賠償の問題、上下間住戸の近隣トラブルの問題、管理組合が関与を余儀なくされる煩わしさの問題等が起こり大変なことになります

<画像:【イラスト】保険証券>「保険に入っているから大丈夫」という考え方もあるかもしれませんが、最近の高経年マンションで発生している漏水事故の多さは保険会社も十分知っています。
実際、漏水事故が頻発した高経年マンションにおいて、更新時に高額の保険料になり、更新を断念した例は結構あります。
そうしたマンションの中には、各戸の自己責任とし、リフォーム時の工事を促したり個人で加入する保険でカバーするよう周知したりしている例もありますが、保険については「"経年劣化"による水漏れ」をカバーしているかしていないか、将来的な保険料の値上げの可能性等についても、しっかり周知しておく必要があると思います。

私は長期修繕計画に専有部分の給排水管の更新を見込むようにお勧めしていますが、これにも以下のような注意点があります。

給排水管更新工事の注意点

  1. なるべく早い時点で管理組合としての考え方を周知しておく。
    築年数の経過とともに専有部分のリフォーム工事も多くなってきます。区分所有者によっては、このときに専有部分である給排水管の横引管を更新される場合があります。
    後になってから、専有部分の工事を個人負担でやった方と管理組合の負担でやった方の不公平感が出ないように、管理組合で実施する方針が決まれば、なるべく早く区分所有者にお知らせした方が良いと思います。
  2. 管理規約を改正する。
    最近のマンションの管理規約は、多くの場合国土交通省の「マンション標準管理規約」をベースに作成されていますが、専有部分の工事に関しては、要約すると「共用部分と一体化している個所(給排水管はその典型です)に関しては管理組合が管理(工事)を行うことができるが、費用負担は個人である(修繕積立金を使用してはならない)」となっています。

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