31.【コラム】標準管理規約の改正について [法律・財務などのソフト分野]

2004年02月18日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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また、督促や裁判に要した費用も当該区分所有者に請求できることになり、未払いのまま転売や競売が実施されても当然次の区分所有者に承継し回収ができます。

?規約や細則に違反した区分所有者に対して理事長は理事会決議を経て勧告等を行うことができる点は従来と変わりませんが今回は更に踏み込んで理事会決議を経て法的措置をとることができることになり、同様に要した費用を違約金として請求できることとしました。

(4)環境問題や、防犯問題に関して

?ピッキング等の防犯対策、環境問題としての断熱や防音対策として開口部(玄関扉、窓)に関して、管理組合の費用と責任で計画修繕として実施することが明記されました。尚、この場合は共用部分の形容又は効用の著しい変更を伴わない工事として総会の過半数決議で実施可能です。

?ただし、区分所有者の事情に応じて一定の縛りの中で各区分所有者の責任と負担で実施できることも盛り込みました。
この場合は、総会決議をとって実施する必要が無いのですばやく処理できることになります。しかし、改善の範囲や使用に関しては細則に定めておく必要があると思います。

4.今回検討されたが改正にいたらなかった内容について

今回、検討委員会で検討の対象になったが改正に至らなかったものを紹介いたします。
?災害等の発生時における理事長の権限強化について
台風や火災の際にライフラインの維持などにおいて理事長判断において対策が取れることを規約に盛り込むことが検討されましたが、権限とともに責任が発生するので緊急避難的に対応すればよいとの判断になり、規約には明記されませんでした。

?役員任期と資格について
役員任期を従来の○年ではなく2年の半数交代制度にすべきとの意見が検討されましたが、現在でもコメントで1〜2年となっているのでこのままでも良いとの判断がされました。
役員資格は従来の「現に居住する組合員」では高齢化、賃貸化またリゾートマンションでは対応できなくなってきているので資格の要件を緩和することが検討されましたが、現行どおりでよいとのことで採用されませんでした。

5.おわりに

欧州の区分所有法に習い日本の区分所有法ができたのが昭和37年です。その後ドイツやフランスではほとんど改正がされていないにもかかわらず日本では昭和58年の大改正や平成15年の改正と大きく変化しています。
建築物を取り巻く環境の違い、都市の急速な発展、日本人の国民性などが原因していると思います。私は多くのマンション管理組合の規約に接する機会がありますが、内容を見てみると平成9年に改正された規約にも準じていない管理規約をいまだに使っている管理組合を大変多く見てきました。特に団地では公団が分譲当事に提供した原始管理規約をいまだに使用している管理組合が多数存在しています。
専有部分と共用部分の区別がきちんとしていない規約や敷地及び共用部分の持分も不明確な管理規約が多数存在しています。
将来の建替などにも影響が出ることは間違いありません。
管理規約は標準管理規約を丸写ししただけでは効果がありません。そのマンションの事情や長年築きあげてきたマンション特有のルールを反映する必要があります。
これを機会にご自分のマンションの管理規約を見直してそのマンションの実情にあった管理規約に改正されることをお勧めいたします。

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