73.管理費削減について [マンション管理士奮闘記(事例紹介)]

2005年01月20日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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管理形態  基幹事務とその他の一部を委託(分譲会社系)
削減総額  年間約138万円

削減の成り行き

 このマンションは管理会社の対応に関しては、あまり不満はありませんでした。分譲会社系ですが、管理事務は比較的しっかりしており会社が大きいので多少小回りが効かないかなという程度でした。
最初に目をつけたのが高額なエレベーターメンテナンス費です。当然メーカー系のメンテナンス会社でした。理事会から交渉の許可を頂き、「昨今の経済事情に即した価格」にて再見積を依頼しましたが最初に出てきた提示額は到底満足できるものではなく、そこである独立系のメンテナンス会社に見積を依頼しました。そうしたら予想通り私たちの期待する価格の提示があったのです。

自信を持った理事は早速理事会で内容や業者変更の是非について検討しました。

ア)現在のメンテナンス会社は超一流メーカー系、変更した場合の会社は大丈夫か?
イ)ワイヤーロープが切れてエレベーターが落下したらどうなってしまうのか?
ウ)どうしてこんなに価格が違うのか、変更しようとしている業者は手抜きをするのではないか?
エ)故障の修理を頼んだ時は独立系の会社はメーカーから専用部品を調達できるのか?
オ)今までこんなに高い金額を取っていたなんてけしからん。数年分の差額を返してもらおう。

等、さまざまな意見が出ましたが一つずつ理事の方を説得していきました。

 千葉県庁ではあれだけの数のエレベーターのメンテナンスを独立系のこの会社が実施している実績があること。エレベーターには安全装置が二重三重に施されており、ロープが切れて落下するのは映画の世界だけであること。今までエレベーター業界は独立系の会社が出てくるまではほとんど独占状態でやっていたので価格が下がらなかったこと。部品調達についてもあるメーカーが部品の納入を拒否して裁判に訴えられ敗訴したことや公取委の勧告を受けて現在ではそのようなことができなくなっていること。

 理事会は納得しました。そして業者変更を決意し現在の会社に最後通告をすることにしました。最後通告といってもただ業者を変更する手続きだけではいけません。
ご存知のとおりエレベーターには安全確保のためリモート監視や緊急時の連絡装置が付いています。電話回線でその会社の監視センターやセキュリティー会社と24時間つながっているのです。ですからその切替が必要になるので業者変更の際は新旧の会社が立会いの下で実施することになります。
理事会の許可を得て私から現在のメンテナンス会社に対し、「契約書に基づき○月いっぱいで保守契約を解除します。よって、○月○日に電話回線の切替等を実施しますのでよろしくお願い致します。」と通告しました。

 今まで高をくくっていたメンテナンス業者はびっくりし、その日の内に理事長と私のところにやってきて「要望どおりに価格を下げるので契約解除をしないで下さい。」と言われました。

最初は「何をいまさら」と思っていた理事会も、「価格を下げてくれるのならば従来通りの会社でいいじゃないか。」と言うことになり最終的には一件落着しました。
一生懸命価格を下げて協力してくださった独立系のメンテナンス会社には事情を話してお詫びをし、お断りしましたが気持ちよく受け入れてくださいました。

 エレベーターメンテナンス費削減で自信をつけた理事会はその後も積極的に管理費用削減に取り組み、管理費用の中でウエイトが大きい機械式駐車場と消防設備のメンテナンス費を見直すことにしました。
 エレベーターの時と同じ要領で数社から見積を採取して実施しました。いずれの場合も最後通告後に「価格を下げるから契約を続けて欲しい。」といってこられましたが、今度は理事会が納得しませんでした。
見積もりばかりを採取して結局は従来の業者の価格を下げさせるだけの「当て馬」に利用されるだけと思われたら今後のマンション管理組合の評判にも影響するからです。

理事会は毅然とした態度で業者変更を実施し、居住者には変更理由とその内容を広報で伝えました。

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