3.新築マンションで施工不良!外壁タイルの訴訟事例とポイント<マンションに欠陥が見つかったら?> [マンション管理士 業務日誌]

2023年04月18日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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なぜなら、通常、余程明らかな不具合、事故等がない限り、建物の劣化診断等を行う第一回目の大規模修繕工事時に発覚することが多いからです。

そしてそれは、冒頭でも触れた「住宅品確法による瑕疵担保責任期間」や「債務不履行に基づく損害賠償請求権の時効期間」の「10年」を過ぎており、管理組合にとっては厳しい状況だからです。

※2023年3月現在、品確法では今も「瑕疵担保責任」という表現が使われていますが、2020年4月の民法改正により、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に改められました

2.民事裁判(損害賠償請求訴訟)までの流れとポイント

民事裁判(損害賠償請求訴訟)までの流れは以下の通りです。
実際には大規模修繕工事を並行して実施していますが、ややこしくなるため途中から割愛しています。また、重松事務所では、受託した大規模修繕工事関連はもちろんですが、裁判前の各種交渉についても情報提供、書類作成、合意形成等をサポートしています。

民事裁判(損害賠償請求訴訟)までのタイムライン

  1. 大規模修繕工事の相談を受け、コンサルティングを開始。
  2. 設計・監理方式での実施を決定し、設計事務所の選定、工事仕様の策定支援、施工業者公募の準備等を進める。
  3. 設計事務所選定後、工事仕様策定のため建物の簡易劣化診断を実施。
    • 通常より多いタイルの浮き・剥離を確認。
    • 通常の倍以上の補修費用を計上することになり、施工不良の可能性を疑う。
  4. 大規模修繕工事着工。足場がかかったところで全面打診調査を実施。
    • 悪い予想が的中し、大量のタイルの浮き・剥離等を確認。
    • 補修費用がさらにかさむことになり、その費用等について対応を協議。
  5. 訴訟を視野に入れつつ、まずは売主に対し「タイルの補修費用負担」を求める。
    • 売主は、タイルの浮き・剥離は「経年劣化」と主張。
    • また、瑕疵担保責任期間の10年も過ぎているので「時効」も主張。
  6. 交渉を重ねるも進展がないため、本格的に訴訟を検討。
    組合員への説明会・アンケート、臨時総会を経て「裁判申し立て」へ。
  7. 売主・施工会社の不法行為責任を追及する民事裁判(損害賠償請求訴訟)を起こす。

1きっかけは大規模修繕工事

前述の通り、本記事の基になった事例では、そもそも大規模修繕工事に関する相談を受けたことが事の始まりでした。
そして、管理会社が提案する責任施工方式を採用せず、「設計・監理方式」で大規模修繕工事を実施することに決定しましたが、結果論ではあるものの、その後の施工不良の発覚〜裁判を振り返ると、この時のご判断はとても大きいものでした

2施工不良はいつ分かったのか?〜疑念から確信に至るまで

繰り返しになりますが、当初の相談内容は大規模修繕工事に関するものであり、施工不良に関してではありませんでした。従って、コンサルティング開始時点で施工不良は発覚していませんでした

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