2.管理組合の収益事業と税金<管理組合の財政?> [マンション管理士 業務日誌]

2023年10月20日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


< ページ移動: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 >

※ただし、収入が常に経費(電気代)相当またはそれ以下の場合は該当しない

自販機設置については、外部を対象とする場合は収益事業になる、物品販売業に該当する、等の見解も散見されますので、判定が非常に難しいことがお分かりいただけると思います。

4.納税額の目安とペナルティ他の注意点

納税額の目安は、課税所得の約35%

法人税等の納税額は、収益事業に係わる収入金額から同事業にかかわる必要経費を差し引いた課税所得に約35%(実効税率)を乗じた金額が目安となります。

無申告によるリスク〜20%以上余計に納税しなければならないケースも

<画像:>適時に税務申告を行わなかった場合には、過年度分の未納付額に加え、ペナルティとして無申告加算税(自主的な期限後申告の場合は納税額の5%、税務調査後の期限後申告の場合は納税額の15%〜20%)や延滞税(最大14.6%)が課されるリスクがあります

新聞報道によると、携帯電話の基地局を設置して年間約300万円の収入を得ていた管理組合が、時効にかかっていない過去5年分について追徴課税をされ、 法人税・事業税・住民税等合せて約240万円の税金を納付したとか、同様に数千万円を支払ったとかあるようです。
従って、早期に税務申告の要否を調査し、税務申告が必要と判断されたときは、速やかに税務申告及び納税手続きを行うことをお勧めします

赤字でも税務申告の義務や手間やコストは発生する

収益事業を行う際に理解しておかなければならないのは、収入金額の多い・少ない、黒字・赤字にかかわらず、税務申告の義務があるという点です
管理組合で税務申告の手続きができなければ税理士や会計士に申告手続きを依頼する形になりますが、その場合は当然費用が発生しますし、赤字の年度や利益がほとんどない年度でも、法人住民税(均等割り)等を負担しなければなりません。(もちろん廃業は可能です)

また、外部に対して広く収益事業を展開する場合は、集客、運用の手間やコスト、トラブル対応等も考慮する必要があります
故に駐車場ではサブリースを活用する管理組合が多いですが、立地等によっては需要が見込めず業者から断られるケースもあります。
その他、事業によって外観上や風紀及びセキュリティの問題等もあります

収益事業は総会決議を経て実施する

収益事業を行うことや納税の手続きは、管理に関する重要事項と考えられますので、あらかじめ総会決議を得てから進める必要があります
又、管理規約の改正も必要となる場合もあります。(※敷地及び共用部分等の第三者の使用、管理組合の業務)

【さいごに】収益事業の導入には十分な議論を!

今回は主に収益事業と納税についてお話ししましたがいかがでしたか。
アンテナ基地収入や駐車場の外部貸出しに関しては、金銭面だけを考えると、比較的高額で安定した収入が見込めますので、納税額・税理士報酬等を考慮しても、長期で見ると安定収入として期待できると思います。

一方、単独での自動販売機の設置については、得られる収入と比較して納税額等の負担が大きく、あまりメリットが感じられない場合もあります。
私がお世話になっている管理組合では、自販機は無償で設置させる代わりに、飲み物の代金を安くしてもらったり、AED付の自販機を無償で設置させたりする事例もありました。

収益事業を導入するには、財政面の他、前述のような注意点がいろいろありますので、総会に諮る前には十分な議論や合意形成が必要と考えます。

< ページ移動: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 >

2/373

次の記事へ >
< 前の記事へ

『 お知らせ&日記(ブログ)』トップに戻る
サイトマップ

マンション管理士 重松秀士の 『マンションサポート・ドットコム』(PC版)
重松マンション管理士事務所(PC版)

重松マンション管理士事務所
〒260-0022 千葉市中央区神明町13-2-104
TEL:043-242-0192/FAX:043-244-9094

Powered by
MT4i 3.0.5

携帯アクセス解析