1.資金運用と管理計画認定制度<管理組合の財政?> [マンション管理士 業務日誌]

2024年01月04日 by 重松マンション管理士事務所所長・マンション管理士 重松秀士


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    ただし、一般担保付債券であり、万が一住宅金融支援機構が破綻しても、その資産から優先的に弁済を受ける権利(優先弁済権)があるとされています(住宅金融支援機構法第19条4項)
  1. 中途換金(途中解約)の可能性がある場合、仕組みをよく理解しておく必要がある。
    1. 審査〜承認が必要。(原則、共用部の修繕工事に充てるためである必要がある)
    2. 利率は毎年段階的に上がる仕組みのため、中途換金すると高い利率の恩恵を十分に享受できない。
    3. 購入後、原則1年目は中途換金できない。2回目以降の2ヶ月以内や満期償還となる年の2月も不可。
    4. 書類の準備〜審査〜振込みまで最短1ヶ月程度見込む必要がある
    5. 購入時同様、1口(50万円)単位で行う必要がある。
    6. 中途換金は一部でも全部でも可能だが、継続購入している債券を一部中途換金する場合、特定の債券(例えばその時一番利率の低い債券)を選ぶことはできない。(積立手帳毎に購入時期が古い債券から換金するルールのため)
      • 手間はかかりますが、毎年新規で購入すれば(積立手帳を分ければ)選択の自由度を高めることは可能です

不安・疑問点があれば納得いくまで確認を

マンションすまい・る債は、政府が出資する機関が認可を受けて発行するものであり、2023年11月時点において住宅金融支援機構は国債と同等水準、メガバンクより上の格付け評価を得ていますが、10年満期の債券ですし、預金保険制度や政府保証の対象ではないこともきちんと理解し、合意形成しておくことが肝要です

なお、応募要件に総会決議は含まれていませんが、標準管理規約に準拠した管理規約であれば、修繕積立金の運用は、総会の議決事項になっているはずです。
もし管理規約で総会議決事項となっていない場合でも、総会決議を経ての購入をお勧めしています

ちなみに、前述の通り、中途換金は前提として共用部の修繕工事に充てるためということになっています。
もしも購入後、格付け評価が下がったりして不安を感じた場合にも中途換金はできないのか?と思う方もいると思いますが、以前問い合わせた際には「個別に相談となる」という回答でした。(実際の可否は不明)

<画像:>住宅金融支援機構のホームページには、これまでの歩みや事業内容はもちろん、財務情報も「統合報告書」という形で公開されています。
実は設立4年目までは赤字でしたが、それ以降、波はあるものの2000億円前後の黒字で推移し、現在は国からの借入金(財政融資資金)も大幅に減り、利益剰余金も増え、総利益から国庫に納付もしている状況です。赤字体質と言われ、多額の補助金が投入されていた旧住宅金融公庫時代とは、かなり財務体質が異なることが分かります。
一般企業とは違いますし、それらを見てもなかなか理解し難い部分も多いですが、フリーダイヤルでの問い合わせも可能ですので、疑問点があれば納得できるまで活用することをお勧めします

また、満期まで運用する分には大した手間もなく様々な恩恵を享受できますが、中途換金の可能性がある場合は注意が必要です。
10年満期の定期預金でも同様ではありますが、満期まで保有することで最大限のメリットを享受できる仕組みになっているので、特に短期で中途換金の可能性がある場合は、手間等も含めて違う選択肢の方が良い可能性もあります。
とはいうものの、安全で且つ運用益(利息)が期待できる金融商品は限られてくるので、預貯金以外では、マンションすまい・る債や国債を選択するしかないのが実情と思われます。

近い将来、早い者勝ちに? 募集上限に近づくすまい・る債

マンションすまい・る債を「定番と言ってもいいような存在」と表現しましたが、先のマンション総合調査の結果を見ても、決して銀行預金のように「ほとんどの管理組合が活用している」ものではありません。

2023年度に応募した2,737組合が全体のどの程度の割合なのか、全国の管理組合数の統計データがないので正確には分かりませんが、一般社団法人マンション管理業協会による令和4年の受託管理組合数が102,569組合なので、それを基に計算すると約2.7%となります。

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